字幕の中に人生 (白水Uブックス―エッセイの小径)



字幕の中に人生 (白水Uブックス―エッセイの小径)
字幕の中に人生 (白水Uブックス―エッセイの小径)

商品カテゴリ:アート,建築,デザイン
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字幕は、縦1行10字、2行以内が原則

 映画「地獄の黙示録」(1980年、日本公開)は観ていても、その字幕翻訳者の名前まで記憶している人は多くはないであろう。この仕事で戸田奈津子は業界での地位を確立した。「字幕への道を志して20年がたっていた」という。巻末には、著者の仕事の一覧がある。1995年には、なんと50本!
 字幕は、縦1行10字、2行以内が原則。
 フィルムと共に台本が送られてくる。試写は3回だけ! 1回目の試写では「ここからここまでが1つの字幕」という区切り(箱書き)を台本に記し、録音しておく。そして、せりふの字幕原稿を書く。この作業が1週間。
 2回目の試写で、原稿に訂正を入れ、次の行程(書き屋さん)に回す。数日後、字幕の入った「初号フィルム」ができあがる。このフィルムで3回目の試写をして、最終訂正を入れ、翻訳者の仕事は終わる。なお、字幕の翻訳は買い取られ、印税はない。
 なぜ、ビデオを使わなかったのだろうか? 考えてみて下さい。
 最後に著者の名言を1つ。
  【人間にはストーリーを聞きたいという本能がある】
ファンブック兼字幕翻訳概論書

著者は字幕翻訳の第一人者。
著書を尊敬して津田塾大学を志望する受験生は今でも数多くいるようだ。

本書は戸田奈津子ファンには必携の1冊であると同時に、
ファンでなくとも字幕翻訳に興味を持つ人にとって得るものの多い本であるように思う。
著者が映画や字幕翻訳について自分の人生・経験というフィルターを通して語ってくれている。
インタビューなどで必ずといってもいいほどよく聞かれる質問に詳しく答えている印象で、
本書を手に取った方の「知りたいこと、聞きたいこと」も載っていると考えていいのではないだろうか。
アンチ戸田も変わるかも?

仕事で読むことになった。

私はアンチ戸田奈津子、とはいわないまでもその第一人者っぷりと
下記のエピソードであまり好きではなかった。

それは大好きな映画『フルメタル・ジャケット』、その翻訳をしてキューブリック監督の
逆鱗に触れて交代させられたことのあるのだ。
このことで"優等生的な翻訳をする人"と勝手にイメージを持ってしまい
好きになれずにいた。

しかしこの本でそのイメージは変わった。大好きになった、とは言わないが
偏見はなくなった。大御所的な方をイメージしており、その集客力で
発言力が高く、有無を言わせない存在のように思っていた。が、実際は
多くの場面で"原文信仰者"の攻撃にあい続け、それでも仕事をこなしている
真摯な姿を垣間見た気がした。

字幕入門書としては他に良書があるし、
エッセイとして面白いか?というとそれほどでもないかと。

それでも字幕翻訳家の第一人者の著書として楽しめると思います。
戸田氏の職人人生に乾杯。

字幕制作の舞台裏について、字幕の第一人者戸田奈津子さんについて、知りたいと思うことはほぼ網羅されていると思います。戸田さんがいかにして映画と字幕と英語にひきつけられ、20年かけていかにして字幕のプロとなったか、そしてその後の活躍ぶりを、歯切れよいエッセイのうちに知ることができます。映画、字幕、映像翻訳、英語、戸田さんの人となりに興味のあるかたには収穫の多い1冊。

個性的なファッションに身を包んだ著者の姿、話しぶりを映像で見聞きできる機会が最近ますます増えています。並々ならぬ映画への愛情と字幕翻訳にたいするプロ根性は、つねに敬服とあこがれの対象でした。本書を読んで、その思いをますます強くしたしだいです。

戸田字幕へ火炎放射を浴びせる方々が目立つ昨今ですが、仕事にたいする女史の真剣さ、投入しているものの深さ大きさをけして無視していただきたくない。戸田さんはやはり「プロの中のプロ」といっても過言ではない存在だと思います。
一秒4文字10字×2行の芸術

字幕翻訳の仕事 を世の人にポピュラーならしめた女史の功績は大きく、将来この仕事につきたい と言う人が急増したとも耳にしました。映画字幕の第一人者であることは改めて語る必要などないわけですが、この本はご自身が語った「字幕」人生でさすがにトップの座にある方だけに説得力があります。と同時に物事をきわめるには並大抵の努力では成し遂げられない、と全編を通じて知らされます。
 あのまるで空気のごとく当たり前に脳が画像と自動的にミックスして楽しんでいる字幕が、一朝一夕では完成され得ない汗と涙の努力の結晶だということが心に伝わってくるのです。英語の勉強を別の側面から捉えた指南書です。これからも静かにロングセラーの道を歩んでいく英語修行の一冊だと確信します。



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